○源流の里木祖村水道水源保全条例
(平成26年9月16日条例第26号の10の1)
(目的)
第1条
この条例は、木曽川水系の源流である木祖村の水を恒久的に良質かつ安定した量を確保し供給するため、その源となる水道水源を水質の汚濁及び水量の減少から保護することに関し、村、住民、土地所有者、事業者及び地下水採取者(以下「村等」という。)の責務を明らかにするとともに、保護するための規制に関する措置及びその他必要な事項を定め、公共の財産である水を適正な利用により公共の福祉に資することを目的とする。
(用語の意義)
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)
水道 水道法(昭和32年法律第177号。以下「法」という。)第3条第1項 に規定する水道をいう。
(2)
水道水源 水道の原水を取り入れするために設けられた法第3条第8項 に規定する取水施設及び貯水施設に係る周辺の地域をいう。
(3)
地下水 地下帯水層に存する水のうち、温泉法(昭和23年法律第125号)第2条第1項に規定する温泉、鉱業法(昭和25年法律第289号)第3条第1項に規定する可燃性天然ガスを溶存する地下水及び河川法(昭和39年法律第167号)第3条第1項又は第100条第1項に規定する河川の流水であることが明らかなものを除いたものをいう。
(4)
事業者 村内において営利等を目的として事業を行う個人、法人又は団体をいう。
(5)
地下水採取者 村内において地下水を採取する個人、法人又は団体をいう。
(6)
井戸 動力を用いて地下水を採取するための施設をいう。
(村の責務)
第3条
村は、水道水源の保全に関する施策を策定し、これを実施する責務を有する。
(住民及び土地所有者の責務)
第4条
住民及び土地所有者は、村が実施する水道水源の保全に関する施策に協力するように努めなければならない。
(事業者の責務)
第5条
事業者は、村が実施する水道水源の保全に関する施策に協力する責務を有する。
(相互協力)
第6条
村等は水道水源の保全について、現況の把握、情報の収集、保全に係る活動等を連携し行わなければならない。
(水源域の保全)
第7条
村等は、水源涵養に資する村有林及び民有林など、山林の適切な管理、保全及び水源域の良好な環境保全に努めるものとする。
(地下水の保全)
第8条
村等は、地下水の水質及び水量の保全を図るため、次に掲げる事項について必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(1)
水源域等での不法投棄の防止
(2)
汚染物質の地下浸透の防止及び適切な処理
(3)
地下水の適切な利用調整
(4)
水量確保に向けた涵養
(5)
地下水量減少時の節水調整
(地表水の保全)
第9条
村は、地表水の水質保全を図るため、次に掲げる事項について必要な方策を実施するものとする。
(1)
公共下水道、農業集落排水処理施設、浄化槽の整備推進及びそれら施設の適切な維持管理
(2)
湧水地、河川等の不法投棄防止等の環境保全
2
住民は、地表水の水質保全を図るため、次に掲げる事項について適切に対処するものとする。
(1)
公共下水道又は農業集落排水処理施設への加入若しくは浄化槽の設置
(2)
愛玩動物の糞尿の処理
3
事業者は、地表水の水質保全を図るため、次に掲げる事項について適切に対処するものとする。
(1)
事業活動における汚水や悪臭を伴う排水等の流出防止及び処理
(2)
農業における農薬と化学肥料の使用
(3)
畜産業における家畜糞尿の処理
(井戸設置許可の申請)
第10条
井戸の設置をしようとする者は、村長に申請し、井戸の設置の許可を受けなければならない。許可を受けた事項を変更しようとするときも同様とする。
2
前項の申請にあたっては、規則で定める書類を添えて申請するものとする。
3
村長は、第1項に規定する設置許可にあたり、必要な条件を付することができる。
4
第1項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合には、同項の許可を要しない。ただし、設置する井戸が第2号から第5号のいずれかに該当するときは、村長に井戸の設置の届出をしなければならない。
(1)
水道法(昭和32年法律第177号)第3条に規定する水道事業、水道用水供給事業又は専用水道の井戸
(2)
前号に規定する水道以外の水道の井戸
(3)
1日当たりの地下水の採取量が10立方メートル未満の井戸
(4)
農業用の井戸
(5)
その他村長が認めた井戸
(設置許可の要件)
第11条
設置許可の要件は、次の各号に定めるところによる。ただし、村長が公益上必要があると認めたときは、この限りでない。
(1)
1日当たりの地下水の採取量が300立方メートル以下であること。
(2)
採取する地下水の使用目的が必要かつ適当であること。
(3)
設置許可を受けようとする井戸の一団の土地(一体的な利用がなされている土地及び所有者が同一である土地をいう。)に隣接する土地の所有者及び建物の所有者並びに規則で定める範囲内の地下水採取者に井戸を設置することについて同意を得ていること。
(4)
地下水の採取により、規則で定める範囲内の地下水の環境に支障を及ぼすおそれのある者に対し、井戸を設置することについて同意を得ていること(1日当たりの地下水の採取量が10立方メートル未満の場合を除く。)。
(許可等の決定)
第12条
村長は、第10条第1項の規定による設置許可の申請があったときは、その内容を審査し、当該申請を受理した日から起算して30日以内に許可又は不許可の決定をしなければならない。
(設置完了の届出)
第13条
設置許可の決定を受けた者は、井戸の設置が完了した日から起算して15日以内に村長に届け出て、設置が完了した井戸の確認を受けなければならない。
(地位の承継)
第14条
井戸設置者から井戸を譲り受け、又は借り受けた者は、当該井戸設置者の地位を承継する。
2
井戸設置者について、相続又は合併若しくは分割があったときは、相続人又は合併若しくは分割によりその地位を承継しようとする法人は、当該井戸設置者の地位を承継する。
3
前2項の規定により井戸設置者の地位の承継を受けた者は、その承継のあった日から起算して30日以内にその旨を村長に届け出なければならない。
(廃止届等)
第15条
井戸設置者は、設置した井戸を廃止しようとするときは、廃止をしようとするときから起算して30日前までに村長に届け出るものとする。この場合において、廃止する井戸は、汚染等により地下水の環境に影響を与えないように閉塞する等必要な措置をとらなければならない。
(許可の取消し)
第16条
村長は、偽りその他不正な手段により許可を受けた者、又は許可の日から1年を経過しても井戸を完成しない者に対して、その許可を取り消すことができる。ただし、特別な事情により工事を行うことが困難な場合は、その旨を村長に届け出るものとする。
2
村長は、第12条による許可の決定を受けた者について、第11条に規定する設置許可の要件に適合しなくなったと認める場合には、その許可を取り消すことができる。
(立入調査)
第17条
村長は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に設置をした井戸に立ち入り、調査をさせることができる。
2
前項の規定により立入調査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
(助言又は指導)
第18条
村長は、井戸による地下水の採取が地下水の環境の保全上必要があると認めるときは、井戸設置者に対して、必要な助言又は指導をすることができる。
(勧告)
第19条
村長は、井戸設置者が前条の規定による助言又は指導に対して必要な措置を取らなかったときは、当該井戸設置者に対して、期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告をすることができる。
(命令)
第20条
村長は、前条の規定による勧告を受けた者が当該勧告に係る措置をとらなかったときは、その者に対し、期限を定めて当該措置を講ずること又は地下水の採取を一時停止することを命ずることができる。
2
村長は、この条例又はこの条例に基づく規則に違反して、井戸の設置工事に着手し、若しくは着手しようとする者又は地下水を採取し、若しくは採取しようとする者に対して、期限を定めて当該工事を停止させ、又は地下水の採取を停止させる等の当該違反行為の是正のために必要な措置を講ずることを命ずることができる。
3
村長は、設置許可を受けることなく、又は設置届出をすることなく井戸を設置した者に対して、必要な限度において原状回復を命じ、又は原状回復が著しく困難である場合には、これに代わる必要な措置を講ずることを命ずることができる。
4
村長は、第10条第3項の規定により付した条件に違反した者に対し、その違反を是正するため、期限を定めて必要な措置を講ずることを命ずることができる。
(公表及び意見を述べる機会の付与)
第21条
村長は、前条の規定による命令を受けた者が、正当な理由がなく当該命令に従わないときは、その旨を公表することができる。
2
村長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ公表をされることとなる者に対し、その理由を規則で定める公表通知書により通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(措置の届出)
第22条
第19条の規定による勧告又は第20条の規定による命令を受けた者が、当該勧告又は命令に係る措置を講じたときは、その措置を講じた日から起算して15日以内に村長に届け出て、その検査を受けなければならない。
(補則)
第23条
この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、村長が別に定める。
(罰則)
第24条
第20条の規定による命令に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。
2
次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(1)
第10条第1項の規定に違反して設置許可を受けないで、又は虚偽の設置許可の申請により、井戸を設置した者
(2)
第17条の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者
(両罰規定)
第25条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金を科する。
附 則
(施行期日)
この条例は、公布の日から施行する。